2022年2月1日、日本政府の閣議において「佐渡の金山」をユネスコ世界遺産へ推薦することが決定しました。

「佐渡の金山」は、佐渡金銀山を代表する「西三川砂金山」「相川鶴子金銀山」の2つの鉱山で構成される世界文化遺産候補です。

人類が希求し続けてきた「金」を獲得するため、江戸時代、我が国では鎖国というヨーロッパの影響を大きく受けない状況の下、伝統的手工業によって金生産が行われました。国内を代表する金山である「佐渡島の金山」では、江戸幕府の直接管理の下、高純度の金を産む生産技術とそれを可能とする高度に専門化された生産体制が整備され、世界でも類を見ない大規模な金生産システムが長期間にわたって継続していました。

これは同じ頃にヨーロッパとその進出先で行われていた動力機械装置を多用する鉱業とは対照的なあり方を示すものです。また、幕府によって日本各地から集められた労働者たちによって、信仰や芸能、娯楽などの豊かで多様な鉱山由来の文化が育まれました。

「佐渡島の金山」では異なる二つの金銀鉱床(鉱脈鉱床・砂金鉱床)の開発が進められ、17世紀には世界最大級の産出量を上げ、江戸幕府の財政やオランダを通じて世界貿易にも貢献しました。

現在、佐渡には金の生産技術に関わる採掘・選鉱・製錬・精錬の遺跡、生産体制に関わる奉行所跡や鉱山集落跡などが残り、鉱山の全体像を理解することができます。

こうした遺跡が良好な状態で残るのは世界的に見ても佐渡だけであり、そこに世界遺産登録の意義があると考えています。

なお「佐渡の金山」におけるユネスコ世界文化遺産登録に関する今後の予定については、つぎのとおりです。

イコモス(ユネスコ諮問機関)の現地調査
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ユネスコ世界遺産委員会で登録可否の決定